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2003年5月の研究懇話会
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【開 催 日】5月12日(月)
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【開催場所】東京工業大学百年記念館
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【講 師】石原 昌具 氏 (当会会員)
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【題 目】「当たり前にやれば成功する事業」
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- 「当たり前にやれば成功する事業」
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優良企業は何か、問われたとき、私はときにこう答える。
「その企業に働く人の、6割が、当たり前の事をきちんとやっている企業」と。
この比率が7割にもなれば、それは超優良企業である。
普通の企業は5割以下であろう。それくらい組織全体として当たり前のことをするのは難しい。それが、「当たり前スタンダード」の難しさの最大の理由である。
ではなぜ、組織全体として当たり前のことをするのがそれほど難しいのか。理由は少なくとも3つある。
第一に、個々の人にとって、自分がすべき当たり前のことは何かを的確に「判断」する事がかなり難しい。自分の判断で当たり前のことをしているつもりでも客観的に見れば当たり前以下、ということが頻繁に起きるのである。
第二の理由は、判断が出来てもそれを実行することの難しさである。判断することと実行することの間には深い溝がある。判断できたつもりでもいざとなるとためらう人はたくさんいる。実行を始めたとしても、一生懸命それを実行するとは限らない。判断と実行の間の深い溝をジャンプさせる何かが必要な場合が多いのである。
第三の理由は、組織としての実行は一人一人の実行が書け合わさって決まるということである。この掛け算の怖さとは、一人一人の実行が十分でないときにそれが掛け合わさったときに全体としてどうなってしまったのか、という怖さである