• 2006年7月の研究懇話会

  • 【開 催 日】
    2006年7月6日(木 ) 15:30~18:00
  • 【開催場所】
    東京工業大学百年記念館、第4会議室
  • 【講  師】
    石川 光生  (当会会員)
  • 【題  目】
    「中国広東省包装事情と中国製紙動向」
  • [内容]
    • 広東省の包装事情
      中国が世界の工場といわれるようになって、既にずい分日にちがたち、我われの感覚としても大して驚くことも無くなってまいりました。

      マスコミに取り上げられる話題性としては、上海、蘇州の華東ラインが注目を浴びているようですが、今回お話しする華南地区である広東省は、いまだに落ち込むどころか、中国内では最大の貿易金額を伸ばし、かつてコンテナ取扱量が世界一であった香港を抜き、ますます世界の工場たる状況を呈しております。
    • 広東省の製紙産業事情
      1. ⑴ 広東省の増産を牽引する2社 は広東から江蘇省への積極拡大を図っている
      2. ⑵ 段ボール原紙増産は過剰?、増設サイド(供給):2000~04年まで、毎年ほぼ百万トン超の増設を実施
        需要サイド(消費):現状、中国の段原紙需要は1千万トン以上あり、年率10%前後の伸びを続ける
        1. ① ナインドラゴン社
          資本:アメリカ、中国合弁、生産能力:年産245万トン(今後3年間で340万トンへ)
          生産品目:ライナー、白板紙、中芯、 工場立地:広東省東莞、 江蘇省太倉
        2. ② リーマン社
          資本:香港上場企業、生産能力:年120万トン(05年末までに160万トンへ)
          生産品目:ライナー、中芯(含強化芯)、 工場立地:広東省東莞、江蘇省常熟
      3. 中国製紙業界の構造変化と特徴
        1980年代まで: 圧倒的に国営グループが業界を占有
        1980年代後半以降:
        1. ① 外資、民営による輸入抄紙機導入が始まる。
        2. ② 抄紙機単体(ハード)だけではなく、操業や抄紙技術、即ちソフトを  パッケージにした形での輸入が本格化。
        3. ③ 外資、民営の強み、豊富な資金力を生かした最新鋭機+技術の投入 ⇒ 品質の確保、シェア拡大
          輸入原料の直買い(従来の国内貿易公司を通過せず) ⇒ コスト競争力、優秀な技術系人材を集結
          経営の積極性、即断即決型、原紙製造だけではなく、後工程、加工業への進出にも積極的
      4. ⑷ 中国製紙業界の方向性〔まとめ〕
        1. ① 大規模能力の増設は依然中央政府認可が必要 ⇒ 需給を無視した増設は、基本的には実施されない。
        2. ② 近年外資、民営系主導の増設が主流 ⇒ 投資金額が膨大になる為、地場資本単独では難しい。 ⇒ 対象は10%前後の成長を続ける包装紙が主体となる。
        3. ③ 最新鋭抄紙マシーン投入、規模の追求が主眼。
        4. ④ 当面は内需主体の販売が続く。⇒「輸出余力があればやる」という姿勢。
          国際市場での競争をするには依然課題がある、特に価格、品質安定への対応
          但し、05年以降は輸出への関心高まるか?
        5. ⑤ 大規模増設を継続している為、国際原料市場へのインパクトが大きく、中国の製紙会社は既にメインプレーヤーになっている。
        6. ⑥ 輸入紙は引き続き一定の役割、存在感を保つ。  ⇒ 完全な輸入代替には暫く時間がかかる。