• 2008年9月の研究懇話会

  • 【開 催 日】
    2008年9月11日(木 ) 15:30~17:00
  • 【開催場所】
    東京工業大学百年記念館、第4会議室
  • 【講  師】
    鹿毛 剛 (当会会員)
  • 【題  目】
    「我国のエネルギーの現状とバイオマスへの期待」
  • [概要]
    • CO2の国別排出状況(2004年)
      米国22.1%、中国18.1%でほぼ40%を占める。中国内陸部の経済が発展すれば、米国を追い越す。この2ケ国で50%になる日も近い。日本は、1990年に対し、6%削減目標に対し、2005年で7.8%増加している。
    • 日本のエネルギーの供給割合とエネルギー自給率
      石油47%、石炭20%、天然ガス14%、原子力15%、水力他4%であり、化石燃料がほぼ80%を占める。原子力を含まない日本のエネルギーの自給率は4%で、原子力を含めても20%に過ぎない。食糧の自給率39%より非常に悪い。新エネルギーへの期待が大きい。
    • 新エネルギー
      太陽光発電コストは高い(約50円/kWh)が、薄膜型シリコンの開発が行われ、数年内に、コスト半減も予想される。更にコスト削減が進めば、拡大が期待できる。風力発電は、順調に伸長しているが、耐震性設計の観点で伸びが緩やかになっている。太陽光発電に次いで、バイオマス発電・熱利用等が期待される。
    • バイオマス
      1. ⑴ 米国のトウモロコシ、ブラジルのサトウキビ゙のバイオエタノール以外で食糧と競合しないものの紹介。
      2. ⑵ ドイツのバイオマス(菜種油、畜産廃棄物)、スウェーデンの森林、下水処理場のバイオマス
      3. ⑶ バイオマス事例紹介:横浜市の下水汚泥からの発電、横須賀市の厨芥類でごみ収集車、京都市の廃食用油で市営バス、ゴミ回収車、堺市の建築廃棄物によるエタノール、東京都厨芥類からの発電
    • 次世代バイオ燃料技術
      1. ⑴ 藁、ススキ、Switch glass(ロッキー山脈の麓に生えるススキの一種)、柳、ポプラなど投入エネルギーに対して、産出エネルギーの大きいものが原料:30-50円/エタノールL目標
      2. ⑵ 海藻、淡水藻から油を抽出、アルギン酸を分解してエタノールの製造など
    • バイオ燃料の社会的な評価
      食糧との競合、経済的評価、環境的評価(インドネシアのパーム油は熱帯林伐採、泥炭層の燃焼等の問題)、社会的評価(雇用創出)、ライフサイクルにおいて地球温暖化防止の効果の評価、生態系保全など社会的な合意が必要である。


    以上