• 2009年12月の研究懇話会

  • 【開 催 日】
    2009年12月10日(木 ) 15:30~17:00
  • 【開催場所】
    きゅりあん(品川区立総合区民会館)
  • 【講  師】
    住本 充弘 (当会会員)
  • 【題  目】
    「Scan Pack 2009 及び 北欧企業視察レポート」
  • [概要]
    1. • スウェーデンのパッケージング関連企業には、革新的な中小企業と大手多国籍企業の両方があり、研究開発に重点を置き、産官学の連携が確立されている。
    2. • インキュベータ、パートナーの活用が上手である。
    3. • 人口が910万人ほどしかいないため、どの産業も外需に目を向けた輸出が盛ん、パッケージング産業も同様。
    4. • 素材製造などの技術ライセンスを外国の企業に販売したり、システムごと外国の企業に“輸出”し、現地生産を基本に展開。
    5. • パッケージ産業の輸出に注力している。
      北欧独特のパッケージ開発システムがある。それは、大学、独立した研究機関、企業の連携であり、スウェーデンでは、「IDEOM」と呼ばれる大学及び研究機関によるベンチャーや、小企業の開発支援システムである。建物の中に負担にならない程度の費用で事務所を構えられ、そこの施設や研究者との交流による開発支援・促進のシステムが成功している。
    6. • 政府補助や企業支援で運営されている独立した研究機関、例えば、今回訪問したBroby Grafiska, INNVENTIAやルンド大学などがパッケージ産業の発展に貢献している様子が伺える。まだ多くの研究機関、たとえば、今回は訪問できなかったが、フィンランドのVTT Technical Research Center of Finland などまだ、興味ある多くの研究機関があると思う。
    7. • パートナー選びによる研究開発の促進も成功しているようである。自社の立場を明確にし、対等な立場での研究開発や組織を作り、競合他社も一緒に基本技術を開発するなど、合理的な開発体制を仕上げている。
    8. • システム化が得意と紹介されたが、まさにそのように商品のみならず、開発の仕方も上手にシステム化しているようである。・更に、成果をグローバルに展開する基本的なスタンスがあり、液体紙容器で成功したテトラパックや最近では、プリンタブル エレクトロニクスのCypak社などは、その代表例と言える。
    9. • 素材は、森林産業の延長線での紙・セルロースの有効活用が盛んで、Scan Pack 2009でも後述するようにバリア材など革新的なパルプ・紙・農業廃棄物の用途の技術開発が進んでいる。例えば、Scan Packに出展の MID SWEDEN UNIVERSITYのように紙及びその延長線上のDigital印刷、エレクトロニクス、RFIDなどの研究・技術開発を行っている。
    10. • 裾野が広く、科学し実用化することへのアプローチがしっかりとしている。
    11. • ナノ繊維の研究も行われている。コンポジット材料への展開が可能と思われる。
    12. • 印刷面では、フレキソに重点が置かれているようであり、Broby Grafiskaは、ドイツの最新のフレキソ機を設置し研究開発やセミナーなどを行っている。
    13. • パッケージ面では、今回訪問のBroby Grafiska やINNVENTIAなどが産学協同で事業展開を進め、INNVENTIAは、青森の高級リンゴのパッケージ開発を手がけている。
    14. • 環境面では、北欧独自のSwanマークのNordic Ecolabelシステムを展開し、sustainability とは何かを明確にして追求している。
    15. • 国を挙げてパッケージ産業の育成・支援を行っている様子が実感できた
    16. • Re newable素材としての紙や農業廃棄物をよく研究し、次世代の包装材料を開発している。
    17. • 「人間と製品の相互作用」について、消費者を主体としたデザインや使いやすさを前提にした開発を実施している。
    18. • 「システムとプロセス」について、効率と物流重視のシステムとプロセスの開発に重点を置き、物流の最適化に取り組んでいる。バイオ分野とナノテク分野に注力している。


    以上