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2023年8月の研究懇話会
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【開 催 日】2023年8月10日(木) 15:00~16:30
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【開催場所】かわさき新産業創造センター&ZOOM会議
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【講 師】住本 充弘(当会会員)
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【題 目】「我々、日本の包装関係者は循環型ポリマー対応をどうする。その先にあるものは」
- 「内要」
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- interpack.2023の要点
interpack2023 はコロナで影響で 6 年ぶりに開催された。
61か国2807社の出展、来場者は156か国、143,000人。- 欧州7か国にあるオレフィンの 回収 stream を利用した PE 、 PP のモノマテリアル仕様の推進、バリア性付与技術、 PCR 利用 が花盛りである。
- 紙を一次包装に利用する動きも活発で、①ほどほどの水蒸気及び酸素バリア性、②耐油脂性、③ HS 性、④現在の紙の回収 stream が利用できる古紙再生性 に対して、充填包装機の改良ができている。
- 今回は、recycled plastics の認証機関 が出展しており、欧州市場における recycled plastics を一定以上配合する義務化、recyclableの第三者認証の必要性が現実となった背景が感じられる。
- 世界の包装業界も小ロット化の波が押し寄せ、大量生産体制にプラスして 小ロット生産体制確立も必要で印刷では デジタル化 が目立つ。
- 日本でモノマテリアル仕様の包装食品を製造した場合、包装面でのメリットはなにか
- 容リ法でプラマーク品は、プラスチック製容器包装に分類され家庭からの排出品は、市区町村で回収され、登録の再生処理事業者に登録内容に基づく再商品化を委託している。
- 今後モノマテリアルの包装製品を販売した場合、家庭からの排出品はプラマークで排出され、市区町村でプラスチック製容器包装のベールとなる。
- 回収する市区町村は、ベールの品質基準と異物の判定基準に課題を抱えている。
- 選別ラインでどのようにしてモノマテリルを選別できるか?
OPP/CPP だけではない。PET/LLDPE, OPP/LLDPE 、 ONY/LLDPE などラミ品が多い。できないあるいは難しい現状であり、勝手に技術的に可能性があると判断してモノマテリアルの良さをアピールすることは、グリーンウォッシュと言われても致し方ない。 - そろそろ正しい表現を行うべきである。
- 96%がPP で、4%がバリア性材料、印刷インキ、接着剤に由来する PP が主材料のフィルム。
- 循環型ポリマー利用促進で何が今課題か
- メカニカルリサイクル用には今後アップサイクリングのために、脱インキ、剥離技術(裏刷りの脱インキ及び素材分離)が必要である。
- ケミカルリサイクル用には異物除去など以外は素材ごとの分別などは不要であり、食品残渣付着もシステムにより問題ない。
- メカニカルリサイクル用は再生設備の投資費用もケミカルよりは負担が少なく対応しやすいが食品接触用途は限定される。
- 回収品の選別技術確立に向けて世界の各社は開発努力をしている。
- 透明バーコード(HolyGrail 2.0 initiative )、画像とロボット Recycleye 社)、CEFLEX(非食品用途)、カナダの軟包装材料回収・再生再利用プロジェクトなど
- 選別品は、溶剤利用(APK社)、水性剥離剤利用(スペイン企業)、溶融押し出し(EREMA),国内脱インキ装置メーカーなど
- 国内では、コンバーター、成形メーカー、食品メーカーなどの廃棄プラスチックを回収して再生再利用。
- メカニカルR.ケミカルR.Bio-R共に必要であり、最終の廃プラはケミカルR.あるいはBio R で原料ナフサとなり、石油由来のナフサの使用量削減に貢献する。
- 食品包装に利用するr PE, r PP の供給をどうするかである。
- 日本の課題題
- 日本の各社は国内向けであるので、Circular Economy は意識するが、EU などの世界情勢は無関係で現状維持で石油由来と時々bio based 由来の包材を使用し続ける。
- わが社は、環境対応方針であり、包装は循環型パッケージ、循環型ポリマー利用を前向きに進める。
- 日本の課題
- ☐ EUは 、recycled plastics 利用が義務であるが、国内はそうではない 。
- ☐ 企業がrecycled plastics を利用しようとしてもペレットあるいは利用したフィルムの入手が困難である。
- ☐ 国内向けにrecycled plastics を利用してもコストアップになるだけでメリットは少ないと打算的に考える企業。
- ☐ Recycledplastics を利用した包装製品であっても、即購買促進にはつながらないので、他社の様子をみる。
- ☐ プラスチック包装は、日本の場合、ラミネート品が多く、回収品の選別が難しい。
- ☐ Recycled plasticsを利用しても、国内では欧州のように認証機関がなく、費用を出して認証を得ても国内向けには意味がないと打算的ではあるが考える。
- ☐ EU市場に輸出する場合は、認証等を得ている樹脂を使用するので今のところは様子見である。
- ☐ 東南アジア地域もEU 志向であるが、海外向けの包装製品はストップする。
- 課題解決に向けて
- このような状況では、日本の包装は世界から取り残される。
- EUの規則が世界の包装の考え方をリードしているので、日本も世界の流れに乗るしかない。
- EUの第三者認定制度を国内の機関が認可され、国内でも認可業務が OK になればどうなるか。
- 日本のラミネート品の選別技術が開発されれば、メカニカルリサイクル用に、世界に技術輸出できるだろう。
- 産官学連携で開発する必要があると思うが
- Recycled plastics利用促進の税制上の優遇措置など必要ではないか。
- 包装業界関係者が結集して対応策を考え出すことが必要ではないか。
以上
- interpack.2023の要点